固定IPアドレスとは?|ポート開放前に知っておきたい基本を解説
固定IPアドレスとは?|ポート開放前に知っておきたい基本を解説
ポート開放やNATタイプについて調べていると、「先にIPアドレスを固定してください」と書かれていることがあります。
ただ、初心者からすると「固定IPアドレスとは何か」「なぜポート開放の前に必要なのか」がわかりにくいところです。
結論から言うと、固定IPアドレスは、PCやゲーム機などに同じIPアドレスを使わせるための設定です。オンラインゲームでは、ポート開放や接続トラブルの切り分けをするときに関係しやすい基本知識です。
目次
固定IPアドレスとは何か
固定IPアドレスとは、PC・ゲーム機・スマホなどの端末に、毎回同じIPアドレスを使わせる考え方です。
家庭内ネットワークでは、ルーターがそれぞれの端末にIPアドレスを割り当てています。たとえば、次のような形です。
- ルーター:192.168.1.1
- ゲーム機:192.168.1.20
- パソコン:192.168.1.21
- スマホ:192.168.1.22
この数字は、インターネット上の住所というより、家庭内ネットワークの中で端末を見分けるための番号と考えるとわかりやすいです。
ポート開放では、「この通信をどの端末に通すか」をルーターに指定します。そのため、対象になるゲーム機やPCのIPアドレスが変わると、設定先がズレてしまうことがあります。
固定IPアドレスは、オンラインゲームを速くするための魔法の設定ではありません。ポート開放や通信設定の対象端末を明確にして、設定がズレにくくするための基本設定です。
ポート開放前に固定IPアドレスが必要な理由
ポート開放では、ルーターに対して「特定の通信をこの端末へ送る」という設定を行います。
たとえば、ゲーム機のIPアドレスが 192.168.1.30 だった場合、ルーター側ではそのIPアドレスに対してポート開放を設定します。
しかし、あとでゲーム機のIPアドレスが 192.168.1.35 に変わると、ルーター側の設定は古いIPアドレスを向いたままになります。これでは、せっかく設定しても意図した端末へ通信が届きません。
| 状態 | 起きること | 問題点 |
|---|---|---|
| IPアドレスを固定していない | 再接続や再起動でIPアドレスが変わる場合がある | ポート開放の転送先がズレることがある |
| IPアドレスを固定している | 対象端末が同じIPアドレスを使いやすい | ポート開放の設定先を維持しやすい |
任天堂サポートでも、Nintendo Switchでオンラインゲーム時のポート転送を案内する中で、先にSwitch側のIPアドレスを手動設定し、そのIPアドレスに対してポート転送を設定する流れが紹介されています。
つまり、ポート開放と固定IPアドレスは別々の設定ですが、実際の運用ではセットで考えられることが多いです。
DHCPとの違い
固定IPアドレスを理解するには、DHCPという仕組みも知っておくと整理しやすいです。
DHCPとは、ルーターが端末にIPアドレスを自動で割り当てる仕組みです。家庭用ルーターでは、基本的にこのDHCPが有効になっているため、スマホやPCをWi-Fiにつなぐだけで自動的にネットへ接続できます。
| 項目 | DHCP | 固定IPアドレス |
|---|---|---|
| 決め方 | ルーターが自動で割り当てる | 手動設定、またはルーター側で固定割当する |
| メリット | 設定が簡単で初心者向け | 対象端末を指定しやすい |
| 向いている用途 | スマホ、タブレット、一般的なPC利用 | ポート開放、サーバー用途、ゲーム機の通信設定 |
| 注意点 | IPアドレスが変わる場合がある | 重複設定に注意が必要 |
普段使いではDHCPのままで問題ないことが多いです。固定IPアドレスが必要になるのは、ポート開放のように「この端末に対して設定したい」という場面です。
DHCPは「空いている番号をルーターが自動で渡す仕組み」。固定IPアドレスは「この端末は毎回この番号を使う」と決めておく考え方です。
オンラインゲームで関係する場面
固定IPアドレスは、オンラインゲームで常に必要な設定ではありません。普通に遊べているなら、無理に変更しなくても問題ないことがあります。
ただし、次のような場面では固定IPアドレスを理解しておくと、原因を切り分けて考えやすくなります。
- ポート開放を設定したい
- NATタイプを改善したい
- フレンドの部屋に入りにくい
- ゲームの招待やマッチングが不安定
- UPnPをオンにしても接続が安定しない
- ルーターを再起動したあとに設定が効かなくなった
とくにポート開放を行う場合は、対象端末のIPアドレスが変わらないことが重要です。転送先のIPアドレスが変わると、ルーター側の設定が意図した端末を指さなくなるためです。
オンラインゲームでは、速度だけでなく安定性も見る必要があります。固定IPアドレスは、通信速度そのものよりも、設定の向き先を安定させるためのものです。
固定IPアドレスの考え方
固定IPアドレスを設定するときは、いきなり数字を適当に入れるのではなく、家庭内ネットワークの範囲に合わせて考える必要があります。
よくある家庭用ルーターでは、ルーター自身のIPアドレスが次のようになっていることがあります。
- 192.168.0.1
- 192.168.1.1
- 192.168.10.1
- 192.168.11.1
この場合、端末側のIPアドレスも同じグループに合わせる必要があります。
たとえば、ルーターが 192.168.1.1 なら、ゲーム機やPCは 192.168.1.30 のように、前半の数字を合わせるのが基本です。
IPアドレスの数字は、家庭のルーター環境によって異なります。他人の記事に書かれている数字をそのまま入れるのではなく、自分のルーターの設定に合わせて確認することが大切です。
また、同じIPアドレスを複数の端末に使わせると、通信が不安定になる原因になります。固定する場合は、ほかの端末と重複しないIPアドレスを選ぶ必要があります。
ルーター側で固定する方法もある
固定IPアドレスというと、ゲーム機やPC側で手動入力するイメージがあります。ただし、ルーター側の機能を使って、特定の端末に同じIPアドレスを割り当てる方法もあります。
この方法は、メーカーによって「DHCP固定割当」「IPアドレス固定割当」「アドレス予約」などと呼ばれることがあります。
バッファローのサポートでは、DHCPサーバー機能を使い、特定の端末に常に同じIPアドレスを割り当てる方法が案内されています。Atermでも、MACアドレスと割り当てたいIPアドレスを登録するDHCP固定割当の手順が用意されています。
| 固定方法 | 概要 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 端末側で手動設定 | ゲーム機やPCのネットワーク設定からIPアドレスを直接入力する | ゲーム機側の設定手順に沿って進めたい人 |
| ルーター側で固定割当 | ルーターが特定端末に毎回同じIPアドレスを渡すようにする | 家庭内の端末管理をルーター側で整理したい人 |
どちらが絶対に正しいというより、使っているルーターやゲーム機の説明に合わせるのが安全です。設定画面の名称はメーカーや機種によって違うため、公式サポートやルーターの取扱説明書を確認しながら進めるのが確実です。
設定前に注意したいこと
固定IPアドレスは便利ですが、間違えるとネットにつながらなくなることがあります。設定前に、次のポイントを確認しておきましょう。
- ルーターのIPアドレス
- 現在の端末のIPアドレス
- サブネットマスク
- デフォルトゲートウェイ
- DNSサーバー
- ほかの端末とIPアドレスが重複していないか
ゲーム機やPCで固定IPアドレスを手動設定する場合、IPアドレスだけでなく、サブネットマスクやゲートウェイ、DNSの入力が必要になることがあります。
ここで数字を間違えると、ネットにつながらなくなることがあります。設定前に現在の値をメモしておくと、元に戻しやすくなります。
- 現在のネットワーク設定をメモする
- ルーターのIPアドレスを確認する
- 固定したい端末を1台に絞る
- ほかの端末と重複しないIPアドレスを選ぶ
- 設定後にインターネット接続テストを行う
- ポート開放を行う場合は、固定したIPアドレスを転送先に指定する
オンラインゲームの接続トラブルでは、いきなり複数の設定を同時に変えると原因がわかりにくくなります。まずは固定IPアドレス、次にポート開放、最後にNATタイプの確認というように、順番に見ていくのがおすすめです。
固定IPアドレスにしても速度が上がるわけではない
固定IPアドレスについて、よくある誤解が「設定すれば回線速度が上がる」というものです。
固定IPアドレスは、通信速度を直接上げる設定ではありません。下り速度や上り速度、Ping、ジッター、パケットロスを直接改善するものではないと考えてください。
| 項目 | 固定IPアドレスとの関係 |
|---|---|
| 回線速度 | 直接速くする設定ではない |
| Ping | 直接下げる設定ではない |
| ジッター | 直接改善する設定ではない |
| パケットロス | 原因が別にある場合が多い |
| ポート開放 | 転送先を安定させるために重要 |
| NATタイプ | ポート開放やUPnPと組み合わせて関係する場合がある |
固定IPアドレスの役割は、あくまで「この端末に対して設定する」という対象を明確にすることです。
ラグやカクつきが気になる場合は、固定IPアドレスだけでなく、Ping、ジッター、パケットロス、Wi-Fiと有線LANの違いもあわせて確認したほうが、原因を切り分けて考えやすくなります。
まとめ:固定IPアドレスはポート開放前の土台になる設定
固定IPアドレスは、PCやゲーム機に同じIPアドレスを使わせるための設定です。
オンラインゲームでは、ポート開放やNATタイプの改善を考えるときに関係しやすく、通信設定の対象端末を明確にする役割があります。
- 固定IPアドレスは、端末に同じIPアドレスを使わせる考え方
- ポート開放では、転送先の端末を固定する意味がある
- DHCPはIPアドレスを自動で割り当てる仕組み
- 固定IPアドレスにしても、回線速度が直接上がるわけではない
- 設定前には、ルーターのIPアドレスや現在の設定値を確認する
- ルーター側のDHCP固定割当を使う方法もある
固定IPアドレスは、単体で劇的に体感が変わる設定ではありません。しかし、ポート開放やNATタイプの見直しをするなら、先に理解しておきたい土台です。
オンラインゲームの通信環境は、速度だけでなく安定性も見ることが大切です。固定IPアドレスは、その中でも「どの端末に設定を向けるのか」を整理するための基本として押さえておきましょう。
関連記事
参考になる外部情報
- 任天堂サポート|オンラインゲームをおこなうとき、ルーターのどのポートを開放すればよいですか?
- バッファロー|DHCPサーバー機能を使用し、特定の端末に常に同じIPアドレスを割り当てる方法
- Aterm|DHCP固定割当設定手順
※外部ページの内容やURLは変更される場合があります。設定を行う場合は、使用しているルーターやゲーム機の公式案内もあわせて確認してください。
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